一般的なデザインと同様に、ホームページ作成においてもシンプルさが重要です。すっきりしたレイアウトならメッセージが伝わりやすいですし、シンプルなデザインだとコストがかからず、メンテナンスしやすいためです。ただしシンプルだからこそデザインが難しいともいえるため、テンプレートで簡単にホームページを作成できるCMSというサービスの使用をおすすめします。
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ホームページはシンプルと装飾多めのどちらがよいのか?
インターネットは固定回線もモバイルも高速通信が当たり前になり、動画や豪華な装飾を活用したホームページが多く見られるようになりました。一方で装飾を可能な限り排したシンプルなホームページも残っています。ホームページは制作の際はどちらを選ぶべきでしょうか。
結論を述べれば、ホームページの主役は装飾自体ではなく文章などの情報ですから、可能な限りシンプルにすべきです。ただし、装飾が多いホームページが全て悪いとも言えません。必要な情報を盛り込んだ結果として、装飾が多くなることもあり得るからです。
ゴチャゴチャしたホームページではメッセージが伝わらない
デザイン初心者は他者との差別化のため必要以上に装飾を施しがちですが、本当に必要な情報が埋もれてしまうおそれがあります。デザインの世界ではシンプルさこそ最重要と考えられており、Webデザインにおいても同様です。
例として企業サイトを考えましょう。業務内容を伝えるための写真は必要ですが、過度にカラフルだったり業務と無関係なギミックが施されていたりすると、商品紹介や会社概要にたどり着きにくくなって紹介サイトとしての意味をなさなくなります。
デザインは情報を見やすく伝えるための手段ですから、ギャラリーサイトでもない限りはデザインを表現するためのWebサイト作りは本末転倒です。シンプルさを表現するのは難しいですが、優れたデザインを参考にしたり、Webデザイン用ツールを使ったりと工夫しましょう。
シンプルなホームページは無料または格安で作成できる
シンプルなホームページ制作は、書籍等のデザインよりは簡単です。Webデザインのポートフォリオサイトは検索すればすぐに見付かり、サイトによってはソースコードが公開されているためです。
また、CMS(コンテンツ管理システム)を使えば、テンプレートの選択でシンプルなホームページを制作できます。ポートフォリオサイトもCMSもほとんどは無料で利用でき、有料であっても年間1万円程度の格安プランを選択可能です。
メンテナンスのしやすさもシンプルなホームページのメリット
メンテナンスが容易なこともシンプルなホームページのメリットです。ホームページのデザインはCSS(カスケーディングスタイルシート)というファイルを編集して行いますが、シンプルデザインならCSSファイルの数は最小で済み、記述も簡素で読みやすくなります。
反対に、ページごとにデザインを変えると複数のCSSファイルが必要ですし、記述も複雑です。また、画面を複数に分割することをカラムデザインと呼びますが、カラムが多すぎると環境の違いでレイアウトが崩れやすくなり確認作業が増えるため、2カラムか3カラムデザインのホームページが適切です。
デザインを参考にしやすい一方でシンプルゆえの難しさも
シンプルなホームページは、ポートレートサイトを参考にしたりCMSのテンプレートを選択したりするだけで制作できますが、装飾が多いデザインより難しいともいえます。無駄を極限まで省く一方で、ホームページ上の文章や写真を少ない装飾で効果的に伝えなければならないためです。
シンプルデザインが簡単だと思い込むと、味気なくオリジナリティのないホームページになってしまいます。シンプルなホームページは決して手抜きではなく、コンテンツを最大限魅力的にする手段だと考えなければなりません。
シンプルなホームページ作りの知識はこれだけあればOK
シンプルデザインは一見簡単だからこそ難しいと述べましたが、初歩的なデザインの知識を身に付ければ失敗を減らせます。シンプルなホームページを紹介するポートフォリオサイトや、「ノンデザイナーズ・デザインブック」のような書籍を参考にしてください。
ホームページ制作にはHTMLとCSSのプログラミング能力も求められますが、アプリ制作に使われるJavaやC言語と比べれば簡単に習得できます。CMSの登場により知識ゼロでもホームページ制作が可能になりましたが、最低限ソースコードを理解するための知識は必要です。
HTMLで文章のレイアウトを指定する
HTML(ハイパーテキストマークアップランゲージ)はホームページ制作に必須の言語です。具体的には「この箇所は見出しで、ここは本文だ」などと、文章全体のレイアウトを指定します。HTMLを正しく記述すればサーチエンジンによる評価が高まり、後述のCSSも管理しやすくなります。
また、画像や表、他のページへのリンクもHTMLで記述します。以前は色の指定やカラムデザインの表現もHTMLで行っていましたが、現在はHTMLで記述するのは文章自体に留め、デザインはCSSで指定することが主流です。
CSSによる装飾も最低限必要なものだけに
文章を表現するHTMLに対し、CSS(カスケーディングスタイルシート)は装飾を担当します。CSSはまずHTMLの要素を対象にし、次にクラスとIDを装飾します。具体的には「見出しは文字を大きくして、本文は小さめの黒い文字にする。ただし本文の目立たせたい文字は赤くしよう」という具合です。
シンプルなホームページを制作するなら、CSSのうち最低限でも色や文字の大きさに関する部分、そしてカラムデザインを実現するためのfloatなどを学ぶ必要があります。ポートフォリオサイトによってはCSSのソースコードを公開しているため、参考にしてください。
現在はCMSによるホームページ作成が主流
2000年頃はHTMLとCSSを自分で記述したり、ホームページビルダーのようなソフトを使わなければホームページを制作できませんでしたが、現在はCMS(コンテンツ管理システム)で比較的簡単にホームページを制作できます。条件はありますが、ほとんどのCMSは利用料金が無料です。
CMSでは文章や画像などのデータをアップロードすれば自動的にホームページが生成されますし、テンプレートを選ぶだけでデザインが適用されます。HTMLとCSSの知識があればよりカスタマイズしやすくなりますが、シンプルなホームページなら編集が必要な箇所は多くありません。
シンプルなホームページ作成に適したCMSの選び方
CMSは複数の企業が提供しており、企業向けや個人向けなど、それぞれに適した用途があります。どのCMSでもシンプルなホームページの制作は可能ですから、デザインに加えてどのような用途のホームページを制作するかを基準にCMSを選んでください。
ここでは4種類のCMSを紹介します。
無料プランで始めてアップグレードするのがおすすめ
まず無料プランでCMSのサービスを比較し、シンプルなホームページの制作に適したCMSの有料プランを本契約する方法をおすすめします。月額料金は最安プランで税込1,000円程度です。各CMSの無料プランと有料プランの違いは以下のようになります。
作成したいホームページに適したテンプレートはあるか
CMS選びではシンプルなホームページに適したテンプレートの存在も重要です。
ジンドゥー(Jimdo)の場合は比較的シンプルなテンプレートが多く、初期段階でパソコンとスマートフォンの両方に対応しています。ウィックス(Wix)は業種別のテンプレートがあり、医院や美容室のイメージに適したシンプルなデザインがありますが、一度選ぶと変更できないのがデメリットです。
ワードプレス(WordPress)はテーマと呼ばれるテンプレートが非常に豊富ですが、どれを選べばよいかわかりにくいともいえます。ドルーパル(Drupal)もテーマを自分でインストールする方式で、それをカスタマイズする前提となっています。
操作性とサポート体制も重要
シンプルか否かにかかわらず、ホームページ制作では操作性の高さやトラブル発生時のサポート体制も考慮する必要があります。
ジンドゥー(Jimdo)はスマホアプリで画面をタップすれば編集が可能なため操作しやすく、無料プランでも問い合わせフォームを利用できますが、優先的なサポートを受けられるのは有料プランです。ウィックス(Wix)はエディタを操作する方式で、ジンドゥー(Jimdo)と同様に有料プランのサポートが優先されます。
ワードプレス(WordPress)の操作にはプログラミング同様の専門性が求められ、日本語でのサポートも限定的です。ドルーパル(Drupal)もソースコードを編集する前提で、サポートは企業に有料で依頼する必要があります。
シンプルなホームページなら本当に必要な情報が伝わる!
無駄のないシンプルなホームページには、情報をコンパクトに伝えてコンテンツを際立たせるメリットがあります。シンプルデザインは決して簡単ではないものの、CMSのテンプレートを使えば比較的簡単にシンプルなホームページを制作できます。
ただ、デフォルトのテンプレートを選ぶだけでは完成とはいえず、不要な要素を削ぎ落とし必要な要素を残す取捨選択が求められます。ポートフォリオサイトなどを参考に、試行錯誤しながらデザインを改善していきましょう。