実店舗撤退や巣ごもり需要の増加などコロナウイルスの影響もあり近年伸び続けているネットショップECサイトですが、代表的なものといえばやはり「Amazon」や「楽天市場」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
Amazonや楽天市場などは「モール型ネットショップ」と呼ばれ、集客力やブランド力がある上に始めやすいネットショップとして人気です。
今回はモール型ネットショップについて、自社ECサイト・ネットショップとの違いからメリット・デメリットを解説した上で、計5つのモール型ネットショップを比較して解説します!
それぞれ特徴やメリット・デメリットがありますので、ネットショップビジネスで最善のスタートを切るためにぜひ今回の記事をご参考にしてください!
<目次リストを追加する領域>
モール型vs自社ECサイト(ネットショップ)の違いは?
まずは前提として、モール型ネットショップと自社ECサイトの違いについて確認しておきましょう。
モール型と自社ECサイトの違いは以下の通りです。
モール型のメリットやデメリットについては次の「モール型ネットショップのメリット・デメリットを解説」で詳しく解説しますが、ECモールに出店・出品するだけでネットショップが始められるためサイト開設のための初期コストが抑えられたりECモールの知名度・集客力を利用できたりといったメリットがあります。
その反面独自性のあるネットショップを作成することが難しかったり、テナント料や販売手数料を支払う必要があったりする点には注意が必要です。
一方で自社ECサイトは、手数料を支払うことなく自由に独自のサイトデザインを行えるといったメリットがあります。
ただしその分サイト開設に知識やコストが必要であったり、初期の集客が容易ではなかったりする点には注意が必要です。
また自社ECサイトにもさまざまな種類が存在し、それぞれで必要なコストや特徴が大きく異なるという点も認識しておく必要があります。
これらの特徴からモール型は、初期コストや集客力の観点からこれからネットショップを始める場合に強いといえます。
ただし利益率やブランディング力を考慮すると、中長期的な観点からは自社ECサイトの方が優れているといえるでしょう。
モール型ネットショップのメリット・デメリットを解説
先ほど少し触れたように、モール型ショップにはメリットとデメリットが存在します。
ここではモール型ショップの理解を深めるため、さらに詳しくメリットとデメリットについて見ていきましょう。
また、モール型ネットショップの種類についても解説します。
メリット
モール型ショップには以下のようなメリットがあります。
- 初期コストが抑えられる
- 集客力がある
- サポートが手厚い
初期コストが抑えられる
モール型ネットショップには初期費用無料で参入できるサービスが多数存在するため、初期コストを抑えてネットショップビジネスを始められます。
自社ECサイトにも初期費用を無料で始める方法はありますが、独自性などの強みを発揮するためにはそれなりのコストや知識が必要です。
集客力がある
モール型ネットショップにはECモール自体の知名度や集客力があるため、それらを利用して初期段階からユーザーのアクセスを集められます。
またネットショップにおいて重要な要素の1つである「信頼」ですが、知名度のあるECモールで出店・出品することでアクセスだけでなく販売まで繋げることが可能です。
サポートが手厚い
ECモールは多数の店舗や商品を取り扱っているため、それだけネットショップビジネスに関するノウハウを持っています。
サービスによってはそういったノウハウをもとにプロモーションやアクセス解析などのサポートサービスを提供しているため、それらを活用して売上を拡大したりネットショップビジネスを学んだりすることができます。
デメリット
モール型ショップには以下のようなデメリットがあります。
- ランニングコストが高い
- 独自性が出しにくい
- 価格競争になりやすい
- 顧客管理に弱い
ランニングコストが高い
モール型ネットショップには基本的に、月額費用に加えてシステム利用料や決済手数料などの販売手数料が必要です。
このため出店や出品だけで月々固定費がかかるだけでなく、売上の一部は手数料として手元に入らないという点は覚悟しておく必要があります。
独自性が出しにくい
ECモールは既定のサイトデザインや機能によって運営されているため、自社の独自性を出すことは困難です。
このためブランディングを行いたい場合は、方向性に沿ったECモールを探すか、場合によっては自社ECサイトも検討する必要があります。
価格競争になりやすい
ECモールには多数の店舗から多数の商品が出品されているため、同様の商品間での価格競争が起きがちです。
デザインや機能において独自性を出しにくいだけでなく、価格も独自に設定しにくいことがモール型ネットショップのデメリットの1つといえます。
顧客管理に弱い
モール型ネットショップはECモールを通して販売を行うため、顧客情報を残したり顧客に合わせたアプローチを行ったりすることが困難です。
独自性が出しにくい点も踏まえて考えると、モール型ネットショップでは「他社ではない自社」と「顧客1人1人」とのビジネスをすることは難しいといえます。
マーケットプレイス型とテナント型
モール型の中には、商品を出品する「マーケットプレイス型」と店舗を出店する「テナント型」があります。
マーケットプレイス型はサービスによって商品保管や発送作業までECモールに委託できるためモール型の中でも簡単にネットショップビジネスを始められますが、その反面ECモールの形に沿って出品するだけのため自社の独自性を出すことは難しいといった点が特徴です。
マーケットプレイス型の例としては「Amazon」があげられます。
これに対しテナント型は店舗を出店するため、モール型に比べるとある程度独自性を出してブランディングを行うことが可能です。
ただし商品登録や受注管理などは店舗ごとに自ら行う必要があります。
テナント型の例としては「楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」があげられます。
モール型ネットショップを解説!
モール型ネットショップにはさまざまなサービスがありますが、代表的なECモールとしては以下の5つがあげられます。
※公表されている値をもとに作成していますが、公表時期や公表基準は異なります。そのためあくまで参考値としてご覧ください。
それぞれの特徴について、以下で詳しく見ていきましょう。
Amazon
Amazonは、売上高、利用者数、出店数すべてにおいて国内最大級を誇るECモールです。
マーケットプレイス型のECモールのため出品するだけで簡単にネットショップビジネスが始められるほか、FBA(フルフィルメント by Amazon)と呼ばれるサービスを利用することで商品保管から注文処理や梱包、配送や返品までAmazonに代行してもらえます。
初期費用もかからず、月額費用も無料の「小口出品プラン」と月額4,900円の「大口出品プラン」から選ぶことができます。
また手数料はカテゴリー別に8~15%の販売手数料に加え、基本成約料として商品ごとに100円かかります。(大口出品プランの場合、基本成約料は無料)
このような特徴からAmazonは、手軽・簡単に最大手の環境でネットショップビジネスを始めたい方におすすめのECモールといえます。
楽天市場
※売上高には楽天トラベルなどの売上も含まれます。
楽天市場は、圧倒的な会員数とマーケットシェアを誇るECモールです。
月間の利用者数だけでも5,370万人とECモール最多の利用者数を誇りますが、総会員数は1億人を超えています。
また食品や産直品のマーケットシェアでは約42%を獲得するなど、顧客数にも売上にも期待が持てます。
なお初期費用の60,000円に加えて、月額費用として「がんばれ!プラン」で19,500円、は「スタンダードプラン」で50,000円、「メガショッププラン」で100,000円が月々必要です。(契約期間はいずれも1年間)
また手数料はシステム利用料やアフィリエイト利用料、決済利用料などが売上やプランに応じてかかります。
このような特徴から楽天市場は、ある程度の費用を投じる覚悟で確実にネットショップビジネスの成果を上げたい方におすすめのECモールといえます。
Yahoo!ショッピング
Yahoo!ショッピングは、国内第3位の売上と圧倒的な出店数を誇るECモールです。
初期費用、月額費用に加えて売上ロイヤルティも無料であり費用を気にせずネットショップビジネスを始められます。
またYahoo!JAPANの各サービスに加えてSoftBankやLINE、PayPayとも連携しており、圧倒的な顧客基盤からもたらされる集客力や相乗効果も期待できます。
なお固定費や売上ロイヤルティは無料ですが、売上に応じてストアポイントやキャンペーンの原資負担、決済手数料やアフィリエイト手数料などがかかります。
これらの特徴からYahoo!ショッピングは、ライバルの多い環境下でも低コストでネットショップビジネスを展開したい方におすすめのECモールといえます。
Qoo10
Qoo10は、海外製のファッションや美容を中心とした格安商品の販売で人気を伸ばしているECモールです。
韓国ファッション・コスメや海外製の脱毛器などが格安で手に入るとして若年層の女性を中心に人気があり、実際に今年2021年には韓国ファッションの売上を急増させました。
背景には韓国ブランド公式ショップの出店やSNS関心が高いといった顧客の特性が考えられています。
初期費用や月額費用は無料であり、販売時にカテゴリー別に6~10%の販売手数料が必要です。
またネットショップ初心者のためのサポートや「QSM( Qoo10 Sales Manager)」と呼ばれる統合販売管理ツールが用意されているなど、サポート面も手厚いといえます。
このような特徴からQoo10は、若年層の女性をターゲットに手軽・安価にネットショップビジネスを始めたい方におすすめのECモールといえます。
auPAYマーケット(旧:auWowma!)
auPAYマーケット(旧:auWowma!)は、auユーザーと中国ユーザーを対象に販路を拡大できるECモールです。
auの顧客基盤に加えて中国市場へ進出できるだけでなく、楽天市場やYahoo!ショッピングで既に出品している商品をCSVによってauPAYマーケットへ一括登録することもできます。
初期費用は無料であり、プランは「シンプル出店プラン」と「コミコミ出店プラン」の2つが用意されていますがいずれも月額費用としては4,800円です。
また手数料はポイント原資の1%に加えて、カテゴリー別に4.5%~9%の制約手数料と決済手数料がかかります。
これらの特徴からauPAYマーケットは、既に他モールでの実績がある上で販路を拡大したい方におすすめのECモールといえます。
どこに出店したら良い?モール型ネットショップを比較
ここまで見てきたように、ECモールといってもモールごとに特徴やターゲット、市場の状況が異なります。
最後にモール型ネットショップのメリットである「集客力」と懸念点である「コスト」という2つの観点から、ECモールを比較します。
集客力を比較
ECモールの集客力について考える際は、「利用者数」と「出店数」に着目しましょう。
先ほどご紹介したECモールの利用者数と出店数を改めてまとめると以下の通りです。
このようにして見ると、やはり大手の「Amazon」と「楽天市場」の利用者数が圧倒的に多いことが分かります。
ただしここで気を付けなければならないことは、出店数が多ければそれだけ利用者を奪い合うライバルも多いということです。
また「どのような顧客を集めたいか」というターゲットまで考慮するのであれば、LINEやPayPayのユーザーをえらいたいなら「Yahoo!ショッピング」、若年層の女性を狙いたいなら「Qoo10」、販路を拡大したいなら「auPAYマーケット」ということになるでしょう。
このようにターゲットによって必要な集客力が変わるため一概にいうことは難しいですが、単純に利用者数と出店数から考えると集客力のあるECモールは「Amazon」か「楽天市場」と言えます。
出店費用と月額の運用コストを比較
コストについて考える際は、「出店費用(初期費用)」と「月額費用」そして「手数料」に着目しましょう。
先ほどご紹介したECモールのコストを改めてまとめると以下の通りです。
このようにして見ると、初期費用・月額費用が無料で手数料も10%以下の「Yahoo!ショッピング」や「Qoo10」がコスト面では優れているといえます。
ただし初期費用と月額費用に関しては「Amazon」や「auPAYマーケット」も無料もしくは少額のため、そこまで大きな差はないといえるでしょう。
また手数料も各ECモール間にそこまで大きな差はありません。
「楽天市場」のみ初期費用と月額費用が突出して高いため、コスト面では「楽天市場」以外そこまで大差はないものの、強いていえば「Yahoo!ショッピング」が最も優れているといえるでしょう。
今回はモール型ネットショップについて、自社ECサイトとの違いやメリット・デメリットを解説した上、代表的なECモールの紹介・比較まで行いました。
ここで改めて今回の内容についておさらいしておきましょう。
▼モール型ネットショップと自社ECサイトの違いは以下の通りです。
▼またモール型ネットショップには商品を出品する「マーケットプレイス型」と店舗を出店する「テナント型」の2種類がありますが、共通して以下のようなメリット・デメリットがあります。
- 初期コストが抑えられる
- 集客力がある
- サポートが手厚い
- ランニングコストが高い
- 独自性が出しにくい
- 価格競争になりやすい
- 顧客管理に弱い
▼代表的なECモールとしては以下の5つがあげられます。
▼利用者数と出店数から集客力があるECモールは「Amazon」か「楽天市場」であり、初期・月額費用と手数料からコスト面に優れているECモールは「Yahoo!ショッピング」といえます。
各ECモールには特徴やメリット・デメリットといえる点がありますが、比較する際にはご自身のネットショップビジネスの方針に従って比較することが重要です。
例えば上の表からコスト面だけ考慮すると「楽天市場」は優れているとは言えませんが、売上高もユーザー数もEC市場におけるシェアも国内トップレベルであり、そもそも狙えるビジネス規模が異なるという点も考慮しなければなりません。
またユーザー層や取り扱い商品もそれぞれ異なるため、それらがご自身のビジネスに合っているかどうかも確認しておく必要があるでしょう。
モール型ネットショップは手軽にネットショップビジネスを始められる方法ですが、多数の競合の中に足を踏み入れなければならない方法でもあります。
今回の内容を参考にECモールの特徴を理解し、ご自身に合った最適のECモールを活用していただければと思います!