コロナウイルスによる影響で個人消費が落ち込み数々の実店舗が撤退を余儀なくされている一方、巣ごもり需要により成長を続けているだけでなく5G開始によってさらに伸びしろが期待されているEC市場。
これからの収入源としてECビジネスを始めたいという個人やECに移行したいとお考えの企業も多いかと思いますが、「どのようにECを始めたらいいか分からない」という方も多いのではないでしょうか。
また「ネットショップ作成を依頼したいが、費用感が分からない」とお困りの方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回はネットショップ作成を依頼する場合の費用について、
- ネットショップの5つの構築方法
- 構築方法別の費用相場
- 制作にかかる費用の内訳
を解説したうえ、最後にご自身で作成する選択肢についても可能性や方法をお話します。
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ネットショップの作成依頼の費用相場は?
ネットショップと一口に言っても、実はさまざまな構築方法が存在します。
構築方法によって作成する際の費用感も変わってくるため、ここでまずネットショップにおける以下の5つの構築方法についてしっかりと押さえておきましょう。
構築方法 | 年商規模 | 費用相場 |
ECモール | - | 10〜30万円程度 |
カートASP | ~1億円未満 | 10~100万円程度 |
オープンソース | 1億円~ | 数十万円~500万円程度 |
パッケージ | 1億円~ | 500万円程度~ |
フルスクラッチ | 数十億円~ | 数百万〜一千万円程度~ |
ECモール型
ECモール型とは、多数のネットショップや商品を抱えるECモールに出店・出品するネットショップの構築方法で、費用相場は10〜30万円程度となっています。
(TOP+商品数ページの相場観です。ページ数が多くなったり、LPが必要な場合はこれ以上かかります。)
代表的なECモールとしては「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」などがあげられますが、Amazonのようにアイテムごとに出品するタイプを「マーケットプレイス型」、楽天市場やYahoo!ショッピングのようにネットショップごとに出店するタイプを「テナント型」と言います。
ECモール型はECモールそのものに知名度があるため、その集客力を利用できる点がメリットと言えます。
またECモールによってある程度サイトデザインが決まっていたり運営が行われていたりするため、自社でネットショップを構築する場合と比べて初期コストコストやスキルがあまり必要無いというメリットがあります。
その反面自由に独自性のあるサイトデザインを行うことが難しいほか、テナント料などの利用料金が発生したりロイヤリティや販売手数料が必要だったりといったデメリットがあります。
カートASP型
カートASP型とは、既存のECサイトシステムを利用して自社ECサイトを作成するネットショップの構築方法で、費用相場は10万円~100万円程度となっています。
ASPとは「Application Service Provider」の略で、ECサイトシステムとして利用できるアプリケーションをインターネットを介して提供してくれる事業者やサービスを指します。
代表的なASPとしては「BASE」「カラーミーショップ」「MakeShop」「Shopify」「ショップサーブ」などがあります。
ASPはブラウザ上で利用できるため、ソフトのインストールやサーバー管理が必要なくサイト構築・運営が簡単なうえ、初期費用や維持費も安価であるといったメリットがあります。
一方でECモール型と比べるとある程度のカスタマイズ性はあるものの、オープンソース型やパッケージ型に比べるとカスタマイズ性・拡張性において劣る点がデメリットと言えます。
オープンソース型
オープンソース型とは、ネット上で無料公開されているプログラムソースを利用して自社ECサイトを作成するネットショップの構築方法で、費用相場は数十万円~500万円程度となっています。
代表的なオープンソースとしては「EC-CUBE」「Magento」があります。
オープンソースはあらかじめECサイトに必要な機能がある程度備わっているうえ、それらを自由に改変することができるといったメリットがあります。
これにより独自性のある自社ECサイトを低コスト・短期間で作成できる可能性があります。
ただしソースコードのカスタマイズには専門的なプログラミング知識が必要になる点には注意が必要です。
またその性質上トラブルへの対処も自身で行う必要があるほか、誰にでも公開されているソースコードを利用するためにセキュリティ上のリスクも考えられます。
このようにオープンソース型は扱いが難しいため作成や運営を依頼することが多いですが、その際にやはりコストがかかってしまうという点がデメリットと言えます。
パッケージ型
パッケージ型とは、開発会社から既存のECサイト構築システムを購入して自社ECサイトを作成するネットショップの構築方法で、費用相場は500万円程度~となっています。
代表的なパッケージとしては「ecbeing」「EC-ORANGE」「ebisumart」があります。
カートASP型やオープンソース型と似ていますが、パッケージ型はECサイトに必要な機能を十分に備えつつカートASP型よりもカスタマイズ性が高く、またオープンソース型と比べてセキュリティやメンテナンスの面で安心できるといったメリットがあります。
その一方で初期費用のほかにも保守やメンテナンスのランニングコスト、またバージョンアップなど、コストがかかる点がデメリットと言えます。
またカスタマイズ性を活かして独自性のあるサイトを作成することを考えると数ヶ月程度必要と考えられるため、サイト開設までに時間がかかるといった点もデメリットと言えるでしょう。
フルスクラッチ型
フルスクラッチ型とは、既存のシステムなどを使わずゼロから自社ECサイトを作成するネットショップの構築方法で、相場費用は数百万から一千万円程度~となっています。
ゼロから構築するため、「自社サイト・モール型サイト・物流システムとの連携」や「在庫管理」といった追加機能やサイトデザインを制限なく思い通りにできる点がメリットと言えます。
一方で最もコストがかかる構築方法であり、作成期間に関しても最も時間が掛かる構築方法である点はデメリットと言えます。
製作費用の見積りの内訳を解説
ネットショップにおける5つのサイト構築方法についてそれぞれの特徴や費用相場を確認したところで、実際に製作にかかる費用の内訳も確認していきましょう。
費用の内訳についてしっかりと理解することで、見積りを出した際に「見積り額が適正かどうか」「自社でまかなえる部分はないか」といった判断ができるようになります。
ネットショップ作成を依頼した場合にかかる費用の内訳としては、以下のようなものがあげられます。
- 打ち合わせ費
- システム導入費
- デザイン費
- コーティング費
- EC機能導入費
- 初期設定費
打ち合わせ費
打ち合わせ費とは、ネットショップ作成に際してどういった目的や目標があって、どのような機能が必要かといった内容を確認・すり合わせする作業にかかる費用を指します。
今まで見てきたように構築方法によって特徴や性能が大きく異なるため、打ち合わせで「やりたいこと」や「目標」、「できること」「できないこと」についてしっかりとすり合わせることは重要と言えます。
システム導入費
システム導入費とは、カートASPやオープンソースなどの導入にかかる費用を指します。
システムのインストールにかかる費用のほか、テンプレートのカスタマイズやプラグインの導入が必要な場合はその費用も含まれます。
どのようなシステムを導入するかによって、実現できるデザインや導入できる機能の幅が変わります。
デザイン費
デザイン費とは、商品の配置などのページレイアウトからバナーデザインやボタンデザインまで、ECサイトのデザイン全般にかかる費用を指します。
「トップページ」と「下層ページ(商品ページやその他のページ)」とで費用が異なることが一般的で、下層ページはトップページの半額程度に設定されていることが多いです。
コーティング費
コーディング費とは、作成したデザインをもとに、HTMLなどのプログラミング言語によってWebページとして見られるように書き出しを行う作業にかかる費用を指します。
コーディング費もデザイン費同様「トップページ」「商品一覧ページ」「商品詳細ページ」などで費用が異なることが一般的で、ネットショップの規模によって全体の費用が異なります。
EC機能導入費
EC機能導入費とは、システム導入のほかに追加でEC機能を導入する必要がある場合にかかる費用を指します。
EC機能としては決済機能のほか、ショッピングカートや顧客管理、商品管理、また問い合わせフォームやメルマガ配信といったものがあげられます。
EC機能導入費ではどれだけ機能を求めるか、また独自の機能を導入するかによって費用が変わります。
初期設定費(サーバー・ドメイン設定、SSL導入など)
初期設定費とは、サーバーやドメインの設定、SSL導入などの初期設定にかかる費用を指します。
ユーザーから信頼度の高いネットショップを作成するためには必要な費用と言えます。
自分で作成という選択肢。ネットショップ作成に必要な要素は?
ここまでネットショップ作成における方法や費用感について解説してきましたが、「自分で作成できないものか?」とお考えになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論から述べると、小規模スタートであればご自身または自社でネットショップを作成することは可能です。
ECモール型やカートASP型であれば特別な知識や技術も必要なく、簡単な操作を行っていくだけで手軽にネットショップを作成することができます。
また、自身で作成する場合にも部分的に作成依頼するということもできます。
例えばロゴやヘッダーバナーのデザイン、またコーディング作業のみを依頼する方法です。
制作会社に依頼することも可能ですが、ココナラやランサーズなどでフリーランスに依頼することでコストを抑えることが可能です。
費用感としてはロゴデザインであれば数万円程度、バナーデザインであれば数千円程度、コーディングに関しても1ページ数千円程度と、制作会社と比較すると低価格で依頼することができるでしょう。
完全に外部への依頼を検討する場合も、まずは自身でネットショップを作成・運営し、ある程度売り上げや課題について見えてきた時点で外部へ依頼した方が良い場合もあります。
自身でネットショップ作成や運営に必要な項目を理解している分、見積りの適正感を把握したり充実した打ち合わせを行ったりすることも可能となるでしょう。
自分で用意しなければならないのは?
制作会社やフリーランスに作成依頼ができるネットショップ作成ですが、商品画像や商品の説明文などは自身で作成する必要があります。
これは「ささげ業務」と呼ばれるもので、撮影や採寸、説明文の作成を指します。
ささげ業務を依頼することも可能ですが、その分コストがかかるうえ制作会社によって対応していない場合もある点には注意が必要です。
まとめ
今回はネットショップを作成依頼する場合の費用相場について解説しました。
ここでもう一度内容についておさらいしておきましょう。
ネットショップの構築方法と費用相場については以下のようになっています。
構築方法 | 年商規模 | 費用相場 |
ECモール | - | 10〜30万円程度 |
カートASP | ~1億円未満 | 10~100万円程度 |
オープンソース | 1億円~ | 数十万円~500万円程度 |
パッケージ | 1億円~ | 500万円程度~ |
フルスクラッチ | 数十億円~ | 数百万〜一千万円程度~ |
コロナ禍においても成長を続けるEC市場において勝ち残るためには優れた機能や独自性のあるサイト作成が必要となりますが、その構築にはコストが伴うため規模や目的に見合った構築方法を選ぶことが重要です。
またネットショップの作成を依頼する場合には、以下の費用がかかる点について把握しておきましょう。
- 打ち合わせ費
- システム導入費
- デザイン費
- コーティング費
- EC機能導入費
- 初期設定費
限られた予算の中でも、これらの費用のどこに重きを置くかを決めてしっかりと打ち合わせで伝えることで独自性のあるネットショップを作成することが可能です。
今回の内容でネットショップ作成において選択できる構築方法と費用について把握し、「どこにコストをかけるか」「どの範囲を依頼するか」といったことを考える際の参考にしていただければと思います。