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はじめてでも大丈夫! 優れたロゴデザインを作るためのポイント

はじめてでも大丈夫! 優れたロゴデザインを作るためのポイント

1998年に発売された、医学博士ダルマ・シン・カルサ(Dharma Singh Khalsa)の著書『これで脳は若返る』によると、人は1日に平均約16,000もの広告やラベル、ロゴを見ているのだとか。このことから、1日に見る大量の情報の中からより印象に残ることが、ロゴ制作においては重要だということがわかります。そこで今回は、はじめてロゴデザインをする際に気をつけるポイントや、参考になる書籍などについてまとめてみました。

<目次リストを追加する領域>

傑作を生み出すための7つの条件

企業やサービス、プロダクトのブランディングの一環として作られているロゴのようなもののことを、広告業界ではVI(ビジュアル・アイデンティティ)と呼びます。その言葉の通り、ロゴは企業やサービス、プロダクトのアイデンティティを表現したものでなければいけません。

 

優れたロゴは、ロゴタイプや色、シンボルマークなどすべてにおいて意味があると言われています。数少ない要素の中で、対象のコンセプトやビジョン、世界観を適切に表現している優れたロゴには、どういった特徴があるのでしょうか?

ブランディング・デザイナーであるデイビッド・エイリー(David Airey)氏は著作『ロゴをデザインするということ。成功と失敗から伝える、君へのアドバイス』(郷司陽子 翻訳/ビー・エヌ・エヌ新社/2,400円・税抜)の中で傑作を生み出す7つの条件を以下のように定義しています。

 

1. シンプルに抑える

2. テーマに沿う

3. 伝統あるモチーフを取り入れる

4. 目に留まるよう工夫する

5. 強く印象付ける

6. 極小サイズでの再現性を考える

7. ポイントをひとつに絞る

 

デイビッド・エイリーはこれらの条件を定義すると同時に、「法則は破るために作られる」とも述べています。これらを念頭に置いた上で枠組みを打ち破り、これまでにないロゴを作るというのもひとつの方法です。

ヒアリングをするときは自分の価値観にとらわれない

ロゴをデザインする上で一番重要なのは、担当する企業やサービス、プロダクトのことを良く知ること。このフェーズを飛ばしてベストなロゴができることはまずありません。たくさんの情報の中からインスピレーションを与えられるような、そのブランドならではのアイデンティティを見つけていきましょう。

 

打ち合わせの際には、言葉での説明だけではイメージが伝わりづらいので、いくつか簡単なデザインパターンを作成し、イメージを共有することが肝心です。また、デザインの引き出しを増やすために、企業やサービス、プロダクトについて、より多くの情報を得ることも重要になってきます。事前にヒアリング項目を用意しておくことはもちろん必要ですが、そのヒアリング項目自体が自分の価値観にとらわれていないかといった「バイアスに気づく」ことが大切です。聞き手(この場合は自分)が知りたいことは「知りたいことのすべて」ではなく、自分が把握できていない「知りたいこと」もあるということを考慮して、質問リストにとらわれすぎないよう、柔軟なヒアリングを心がけましょう。

コンセプトシートでデザインの方向性を確認する

ヒアリングが終了したら、そこで得たブランドの役割やデザインの方向性などの情報をコンセプトシートに書き出していきます。コンセプトシートに書き出すとわかりやすくなる項目は以下です。

 

1.デザインの方向性が伝わるようなキャッチコピー

2.このブランドのゴール、目的

3.カラーパレット

4.ワード

 

はっきりイメージしづらい場合は、アイデアやイメージをもとにさまざまな画像を集めたイメージボード(ムードボードともいいます)を作ってみると、デザインする上で参考になるためオススメです。

イメージを描き起こして絞りこんでいく

ロゴは手描きのラフから作っていくパターンが主流です。ヒアリングを受けて自分の中で浮かんだイメージを描き起こしていきましょう。アイデンティティとなるモチーフやオブジェクト、そこから連想される雰囲気や色、タイポグラフィがあるパターンないパターンなど、コンセプトシートを参考に思いつくままに描き出すことで方向性が見えてきます。いくつかに絞り込んだらデザインツールで描き起こし、ラフ案から推奨案を作成していきましょう。

タイポグラフィをブラッシュアップして「オンリーワン」なデザインに

良いと思った推奨案は、タイポグラフィをブラッシュアップし、クライアントに提案する準備をしていきます。タイポグラフィを作る際の方法は大きくふたつあります。

 

1. 既存のフォントを使う

2. 既存のフォントに手を加えたオリジナルフォントを作る(一から作成する場合もある)

 

ロゴのデザインでは、2のオリジナルフォントが主流となっています。理由としては、クライアントは、ほかと被らない個性のあるロゴを望むことが多いからです。ロゴは、企業や商品の顔として非常に重要なものであると考えるクライアントほど、ロゴ制作に高いお金をかけています。最後のひと工夫が、ロゴを「オンリーワン」なデザインにするのです。

タイポグラフィを考える際に参考になる、オススメの本をいくつかご紹介します。

 

タイポグラフィ・ベイシック

高田雄吉 著/パイ インターナショナル/1,800円(税抜)

 

タイポグラフィの基礎が学べる本です。有名なロゴがどの書体を使って作られているかが掲載されています。

 

フォントマッチングブック

パイ インターナショナル 編著/パイ インターナショナル/2,600円(税抜)

 

和文フォント別に「見出し」「リード」「本文・キャプション」の3つのパートに分かれた組版見本帳。ロゴ作りの際には異なった書体をキャッチコピーとしてくっつけたい場合や、モリサワフォントなどの有名フォントを見比べる際に使えます。

 

たのしいロゴづくり 文字の形からの着想と展開

甲谷一 著/ビー・エヌ・エヌ新社/1,800円(税抜)

 

欧文&和文ロゴの実践的な制作テクニックを、初心者にもわかりやすいように体系化して解説している本です。オリジナルフォントを作る際にどういった切り口があるのか、具体的な例をもとにした説明が載っています。

イメージしやすいようにロゴデザインの展開案を作る

推奨案を提案するときには、実際に名刺にした場合やTシャツにした場合、封筒など、ロゴを実際に展開したものを作成しましょう。展開案を作成することでよりイメージが湧きやすくなります。名刺にしてみると意外と別のアイデアのほうが良いと思うこともあります。

mockupworld」のような簡単にmockupを作成できるファイルを提供してくれるサービスもあるので、こういったサイトを使うのも便利です。

実際には最終的に一つの案に決まった後、さらにブラッシュアップをします。最終案の中でもタイポグラフィを少し変更してみたり、シンボルの形を少しだけ変えてみたりしてクライアントに提案し、最終決定していきます。

アイデア出しのヒントをくれるWebサイト

最後に、アイデア出しをする際にヒントをくれるWebサイトをいくつかご紹介します。

dribbbleは、いろいろな人の作品をたくさん見ることができるサイトです。UIがシンプルで一覧性があるので、参考にするイメージをたくさん集めたい時にはオススメです。

世界中の有名企業のロゴが載っているサイト。見るだけでなくダウンロードもすることができます。

各種のロゴデザインが載っているとても有名なサイト。一つひとつのロゴが5段階で評価されています。

さまざまなテンプレートがあり、簡単にデザイン制作ができるので、何も決まっていない段階でクライアントと方向性を決める際にオススメです。

 

このように、数々の工程を経て優れたロゴは作られています。はじめての場合は戸惑うことも多いかもしれませんが、企業やサービス、プロダクトの顔とも言えるロゴのデザインは、とてもやりがいがあります。この記事を参考に、ブランドの世界観を適切に表現したロゴデザインに挑戦してみてください。

amu

大学卒業後、UI/UXデザイナーとして新規サービスの設計を担当。在籍時、デジタルハリウッドSTUDIO上野 by LIGでWebデザイナーコースを専攻。2018年よりGoodpatch Inc.にてFE兼デザイナーとしてWebデザインに携わる。