· 

さりげなく取り入れたい色彩心理 知っておきたい5つのポイント

さりげなく取り入れたい色彩心理 知っておきたい5つのポイント

慣れずにデザインをする際によく戸惑ってしまうのが、「色の配色」。自分の感覚でこの色がいいかなと選んではみたものの、どうもしっくりこない。そんなときには、自分の感覚に加えて、「色彩心理」の要素も織り交ぜて色選びをしてみるのがおすすめです。

 

色彩心理は、色が持つ特徴と色が与える身体的・心理的影響を結びつけて心理学的に解明しようとするものです。つまり、それぞれの色を、人々がどのように受け取り、感じているのか、その関係性を明らかにします。

 

色彩心理がわかれば、色選びに困らなくなるどころか、ターゲットの心理を誘導することもできます。そこでこの記事では、さりげなく取り入れたい色彩心理の5つのポイントをまとめてご紹介します。

<目次リストを追加する領域>

01.色相環から配色を選ぼう

色相環や配色に関する正しい知識を持つだけで、デザインに取り入れる色合いのセンスが大きく変わります。

 

色を正しく表現したり、伝えたりするには、規則的な色の枠組みが必要となります。色は、光の波長の違いによって表現されますが、それを連続的なものとして環状に表現したものが色相環と呼ばれます。

色相環が理解できると、どの色とどの色が補色の関係なのかが一目で理解できるようになります。補色は、絵の具のような塗料同士で混ぜ合わせると無彩色(グレーや黒など)に変化します。またデザインとして2色を隣接させると非常にコントラスト比が高くなってしまい、目がチラつく要因になります。

 

一方、色相環で比較的隣接している色はもともと光の波長がよく似ているもの同士なので、相性がいい場合が多いです。困ったときには、色相環に沿って、テーマカラーから決めていくと良いでしょう。

 

利用する色が多すぎるとかえって主張したいことが分からなくなるので、3色程度に絞るのが大切です。一般的に、配色はメインカラー・サブカラー・アクセントカラーの順に6:3:1くらいで使うのが望ましいと言われています。

02. 性差や年齢による好みを知ろう

あなたが好きな色が、ターゲットの好みの色とマッチしているとは限りません。むしろ、違うことが多いということを理解しておくと、配色選びの参考になるでしょう。

カリスマWebマーケターのNeil Patel氏によれば、男性・女性ともに好きな色として挙げられているのが青です。2番目に好きな色で女性が挙げている色は紫ですが、男性では2番目に嫌いに挙げられている色でもあります。

 

また、年齢別でも、青はどの世代でも受け入れられやすい一方、グレーやオレンジは年齢が上がるにつれて受け入れられにくい傾向があることもわかっています。水色やピンクは子供っぽい色で、紫や茶色がシニアを想起させるなど、色から属性が自然に思い出されるケースもあります。

 

このように、人間の属性によって配色が気に入るかどうかが変わるので、デザインのターゲットを明確にして、ターゲットに合わせた配色選びを行うのが大切です。配色で万人を喜ばせるのはなかなか難しいので、ターゲットを絞って、その中で最大限の人数を満足させるよう心がけましょう。

03. 暖色と寒色を使い分けよう

先ほどご紹介した色相環のうち、赤・橙・黄を「暖色」、緑・水色・青を「寒色」、その間に挟まれた色を「中間色」と呼びます。

暖色はその字の通り暖かそうな色で、単に表面的な温度だけではなく、「優しそう」「元気そう」といった心理的な暖かみも感じられます。一方、寒色は冷たさを感じさせる色ですが、「知的」「クール」といった冷静沈着なイメージを喚起させることができます。

 

青が世代を問わず受け入れられやすいのは、暖色や寒色が身体に及ぼす影響にも関係があるからです。これらの色は暖かさや冷たさを感じさせると同時に、神経系にも作用すると言われています。

 

暖色は交感神経に作用しやすく、赤色を見続けていると体温や血圧が上昇したり、黄色を見続けていると目が冴えたりすることがあります。その逆で、青のような寒色は興奮した神経を落ち着かせ副交感神経優位にするため、体温や血圧は下降し、非常にリラックスすると言われています。

 

こうした暖色・寒色の身体的影響を利用して配色を決めるケースもあるようです。たとえば、暖色を使えば顧客の購買意欲に訴えかけることができるため、商品を積極的に販売したい企業や、飲食店などの回転率の高いサービスでは暖色が好んで採用されます。一方、高額商品を取り扱う企業や、コンサルティングなどの知的商品を取り扱う企業、銀行などは、暖色を使うとかえって安っぽく見えることがあるため寒色が使われます。また、寒色は快楽や幸福感よりも、安定や信頼が求められる分野で利用されます。

 

このように、暖色と寒色は、メインカラーとしてどちらを採用するかで大きくターゲットの心理状態が左右されるので、選ぶ際には注意が必要です。こうした心理状態を逆手に取った色彩選びは売り上げにも作用する可能性があるのです。

04. 表現したい心理を色で表そう

ここまで、寒色や暖色に関して紹介してきました。しかしながら、色にはそれぞれに想起させるイメージがあるので、そうしたイメージにぴったりくる色を選ぶのも良いでしょう。

たとえば、ニトリのロゴマークでおなじみの緑色は中間色ですが、緑には「健康・平穏・自然・交流」といったイメージがあります。

 

マクドナルドのロゴマークにはメインカラーとして黄色が使われていますが、黄色には「活発・若さ・楽観・応援」といったイメージがあります。

 

色を使って心理的な不安を取り除くカラーセラピーや、好きな色から性格診断を行う色彩心理テストなどは、こうした色が持つイメージを上手く活用しています。各色の持つイメージを理解し、どの色を使えばターゲットに認知されやすいかを考えて、メインカラーを決めるのも一つの手立てとなるでしょう。

05. 白と黒を大胆に活用しよう

ここまで色相環に乗った色に関してお伝えしてきましたが、実は色相環にはない色があります。それが無彩色です。

 

無彩色はその名前の通り「彩(いろどり)」のない色で、端的に言えば、白、黒、その間のグレーとなります。高級感や重圧感を出したい場合には、白や黒をうまく活用してみましょう。

 

しかしながら、白と黒は、主張の仕方が異なるので使い方には注意が必要です。ここでは、Canvaで作成した2つの結婚式の招待状のデザインを確認してみましょう。

結婚式といえば、どのようなイメージがあるでしょうか。純白のウェディングドレスは、純白さや無垢さを演出します。、上のカードでは、白背景を基調として、清潔感を演出しています。白は、すべての光を反射する色で、清潔さや無垢さを表現する色としてもよく使われます。

一方、同じテンプレートを使っても、大胆に黒中心にすることで、重厚感溢れる構成にすることもできます。黒は、すべての光を吸収する色で、威厳や強靭さを表すときによく利用されます。

 このように、まったく同じ「結婚式」というジャンルであっても、どのようなメッセージを伝えたいかによって、ベストな色使いは異なっていきます。色相環上にある色ではうまくイメージを表現できない場合には、白や黒をメインカラーとして採用してみるのも検討してみましょう。

まとめ

色彩心理に関する正しい知識を身につければ、なんとなく「センス」で片付けていた配色選びが格段に早くなり、確信してベストな色を選べるようになるでしょう。

 

配色は自分の好みだけで決められがちですが、「配色」一つとってもさまざまなことを考えて選ぶのが大切です。ぜひ今回の記事を参考に、ベストな配色選びを実践してみましょう。